やっと、やっと念願が叶い、あのエアーズロック(ウルル)をこの目で見ることができました。訪れたその日は、月に一度あるかないかといわれる曇り空。夕陽に映え、燃えるような赤に包まれる光景を想像していたので少し残念ではありましたが、さすが世に聞こえたエアーズロック。天気が悪くても、雨がぱらりときても、その美しさが曇ることはありません。
むしろ、淡く薄紫色に染まっていくエアーズロックに、神秘的なものを感じました。人の尺度では測れない自然の素晴らしさ。この地に来ることができたという感動と興奮がふつふつと湧いてくる瞬間でもありました。
夜が近づくにつれ、エアーズロックの雄大な姿が浮かび上がってきます。その移り変わる情景をずっと眺めていたい。大地に寝ころび、大空を仰ぎながらエアーズロックに対峙する。もっと長くそんな時を過ごせたら、きっと素敵でしょう。
さて、そのエアーズロックまでは多くの人が空路を選びます。シドニーからは約3時間30分。ケアンズからは約3時間弱。強行スケジュールで日帰りをすることも可能ですが、せめてサンライズとサンセットは楽しみたいもの。
主要な観光スポットや展望台の近くには駐車場も整備されているので、車で訪れることも可能です。エアーズロック空港からバスで10分ほどの場所に、エアーズロックリゾートと呼ばれるホテルやショッピングセンターが集まる一角があります。
真っ赤な大地の中にあり、エアーズロックまではバスで15分ほど、カタジュタ(Kata Tjuta)という36の巨岩群まではバスで30分ほど。各ホテルとショッピングセンターを循環する無料シャトルバスが15分から20分間隔で随時運行しています。
リゾート内にはキャンプサイト、バックパッカー、リゾートホテルなどの宿泊施設があり、それぞれ趣向をこらしたレストランを併設しています。イタリアン、タイ料理のほか、カンガルーバーガーがメニューに並ぶところも。バーベキュー施設もあります。要予約の場合もありますが、気軽に利用できるところがほとんど。
また、ショッピングセンターにもレストランとカフェがあります。さらに、シャンパンとカナッペ付き、あるいはバーベキュー付きのサンセットツアーもあるので、食事に困ることはありません。
ショッピングセンターにはその他、アジア料理のテイクアウェイ専門店(食べ物のお持ち帰り店)、スーパーマーケット、お土産ショップ、郵便局などがあります。
小さいながらマーケットも立ちます。アボリジニーアートがデザインされたマグカップやTシャツ、エアーズロックのスティッカーといったお土産がここで揃います。他都市のショッピングセンターと比較して小さいと感じ、することがないと思われる方もいるかもしれませんが、大自然の真っただ中にいることを存分に満喫して欲しい。
町の喧騒がなく、空気が澄み、空が高いこと。リゾート内の遊歩道を散策するとそのことがよくわかります。真夏の炎天下や動物たちの活動が活発な時期はお勧めしませんが、冬期や初春などは気温もさほど上がらず、ヘビなどの動物に遭遇する確率も低いので、赤い大地を踏みしめてください。
夜の散策もぜひ。私が滞在した日はあいにくの夜空でしたが、雲の隙間から顔を出す月に、その明るさを改めて知ることができました。晴れていればどれほどのものだったでしょう。遊歩道の先にあるホテルの照明が強いとさえ思いました。自然の中のありのままの光が人の目にも優しいと分かった気がします。
エアーズロックを含むナショナルパークの入場料は大人25ドル。チケットは3日間有効。園内散策の際は常に携帯し、入園の際もチケットを掲示します。レンジャーが抜き打ちで掲示を求めることもあるのだとか。
広大な園内ですが、その全てがアボリジニーのアナン族の所有物となっています。エアーズロックはもちろんのこと、カタジュタ、空を飛んでいる鳥たち、枯葉や小枝、小石まで。
散策をする際はトレイルを歩きます。それ以外の場所を歩くことは生態系を少なからず壊すことに繋がりますし、彼らアナン族の人々の所有物を踏み荒すことにもなります。園内のものを持ち出し、動かすこともマナー違反。罰金の対象です。
また、神聖な場所が幾つかあり、そこではビデオと写真撮影が禁じられています。マナーを守りながら、気持ちよく過ごしたいですね。ラクダに乗ってサンライズやサンセットを鑑賞したり、サイクリングで周遊したり。バイクで疾走するのもよいでしょう。
あるツアーでは、キャンプファイヤーの周りに寝袋を並べ、参加者全員で大空のもと食事をし、アボリジニーガイドによる散策を楽しめます。比較的、虫の少ない7月から9月初旬頃なら、満点の星空を見上げて睡眠するのによい時期です。
多少の不都合を差し引いても素敵な思い出になることは間違いないでしょう。エアーズロックは砂漠気候ですので、年間の日中は最高で40度、夜は最低で5度くらいまで下がったりします。
一日の気温差も大きく、私が訪れた9月初旬で日中は35度まで上がり、夜は10度前後まで下がりました。
乾燥地帯なので、1リットル以上の水分の携帯が必須となっています。喉が渇いたと感じる前に、水分補給をしたいもの。そうしたエアーズロックを訪れるベストシーズンは7月から9月初旬頃ではないでしょうか。個人的には日本の夏休みやお盆のシーズンを過ぎた8月下旬がねらい目だと思います。
過ごしやすい時期ですし、風も比較的穏やかです。とはいえ、やはり世界のエアーズロック。どの時期に行っても観光客で賑わっています。また、リゾート内は比較的狭いですので、同じツアーに参加した人に遭遇する確率も高いです。とはいえ、それも一つの旅の醍醐味。
日本語ツアーはもちろんありますが、世界各国の人が参加する多国籍なツアーを選び、世界の中心で感動をシェアするのもいいですね。現在もなお、神聖な場所として大切にされている地。エアーズロックをただ「一枚岩」と言ってしまうには余りあるものがそこにはあります。
ウルル
エアーズロックは、アボリジニによる呼称で「ウルル」として幅広く知られています。ウルルは、アボリジニが伝える天地創造の神話やドリームタイム(アルチェリンガ)―人間が生活や旅をする中で、エネルギーやスピリットを残す行為―のなかで神聖な場所の一つです。
ウルルは世界の大きな謎の一つとして知られており、またオーストラリアの最も有名な世界遺産でもあります。イギリスのシルベリーヒルとは違い、ウルルは人を引きつける巨大な岩山です。エジプトの大ピラミッドのように、大規模な軌道線上に位置しています。
ウルル (エアーズロック) は、中央オーストラリア、ノーザン・テリトリーにある巨大な岩石です。南緯25度20分41秒、東経131度1分57秒に位置するアリススプリングから南西に350㎞いったウルルーカタ・ジュダ国立公園内にあります。
ウルルは、標高318m(986フィート)、周囲8km(5マイル)に及び、 (同じくオーストラリアにあるマウント・オーガスタスに続いて) 世界で2番目に大きな一枚岩です。また、地下2.5㎞(1.5マイル)まで 拡張します。1872年に探検家アーネスト・ガイルズはこの岩を臨んだ印象を「珍しい小石」と記しています。
エアーズロック 歴史
東洋学、西洋学の考古学研究結果の観点から、人類は1万年以上前からこの一帯に住み着いたと考えられています。1870年代にヨーロッパ人がオーストラリア西砂漠にたどり着きました。1872年、オーストラリア電報回線の建設により可能となった遠征時にヨーロッパ人により発見され、地図に載せられました。また、これとは異なった探検でアーネスト・ガイルズとウイリアム・ゴッズが初めてこの地を訪れました。
カタ・ジュタ国立公園は、現地のアボリジニが所有し、管理しています。数年前、オーストラリア政府はカタ・ジュタの所有権をアボリジニに返還しました。エアーズロックは花崗砂岩といって、目の粗い砂岩であり、少なくとも厚さ2.5㎞にも及ぶ長石です。
400万年から300万年の間の隆起と褶曲は、現在の位置から約90度傾き堆積層として蓄積されてきました。そして、岩の表面は浸食されていきます。一日の時間帯や大気の状態によって、青からスミレ色、スミレ色から色鮮やかな赤色といったように、岩は変幻自在に色を変えてゆきます。多くの熱心な写真家達は何日も泊まり込み、様々な色に姿を変えるウルルを撮影しています。
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